リトアニア リトアニア

剥製、オムレツ、春の解剖

Stuffed, omelet, spring dissection
<a href="https://eulitfest.jp/year2024/speakers/entry-295.html">オーシュラ・カジリューナイテ</a>

剥製、オムレツ、春の解剖

剥製

ある日ゴミ置き場のあたりで取り残された鳥の剥製に気づいた
気がついてそして忘れた、けれど向こうは私を忘れることはなく、それどころか追いかけてきた––
どこに行っても、だれと会っても、あらゆる場所で使い古しの剥製を見かけた

はじめのうちは、ただ見ないふりをしていた
勝手にさせておいた、私にとって啼くことも降り立つこともできないものに過ぎなかった

けれどしまいにそれは、完全に大胆になった––公共の場以外にも姿を見せるようになった
学生たちの中に、聴衆の中に、通行人の中に紛れるようになってからは––
友人に連れ立ってよく現れるようになり、身近な人の頭に着地することも厭わなくなった

そんなものだから、感じ良く近寄ってそれに尋ねてみた––剥製はそこで何をしていて、何を求めているのか
でもそれはただ静かに腰かけていた
そして父は、それはついに父の頭の上に載ったのだが、ただ訝しげに私を見ていた
父さん、頭の上に鳥がいるよ!––私は囁いた
でも父は手を振った––分かってよ、これは大変なことなの

それからは夢の中でも剥製を見かけるようになって、そのせいで夢の中ですら休めなくなった
ほとんど何も考えなくなって、ほとんど何も食べなくなって、ほとんど存在しなくなった
私はそれが微笑んでいるように見えるようになった。剥製は私をあざ笑っていたのだ
近づいて、掴んで、できる限りの力で壁に投げつけた。けれど、そこは壁ではなく鏡だと気づいた

そのとき鏡の中に、初めて飛んでいく鳥を見た

オムレツ

オムレツを焼く準備をして
卵を一つ割った
そして二つ目
三つ目に汚れた少年を見つけた

親もいないまま、ひとりで座っていた
ショッピングモールにいて
そばに小箱を持っていた

誰も見ていないのを見回して
そのまま朝食を
作り続けた

春の解剖

孤独が公園の小径を歩く
ゆっくりと足を据える
春の身体を解剖する
理由を知ることを渇望してその裏にあるものを忘れる

筋ばった両手、骨ばった両頬
ときおり彼は欲しいものを知っている、特に今日は

ポケットの中で握りしめている金属はまだ冷たい
靴はうまく加工された革でできている
財布には少しの現金と何枚かのカードがある
それらのうちの一つで、彼は今笑っている

今年切られた風が初めて歩く
煙で駄目になった鼻で吸い込むかのように嗅ぐ
彼は春の死の理由を知りたがっている
小説も書きたいのかもしれない

屈んで力いっぱいナイフを地面に突き刺す

ほとんど真っ直ぐの線は、血
まだ子供の頃に見たのと同じ
小さな青い機械を引っ張り出すまで
中に手を突っ込んで長いこと探した

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