英語・日本語(同時通訳あり)
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水
18:00 - 19:30
オンライン配信
第1部
子どもたちにはまだむずかしすぎるテーマ?
児童文学におけるジェンダーと性的多様性について
自らの絵本『ぼく、ひつじじゃなくてぶたなんだ』と De boer en de dierenarts (農家のおじさんと獣医さん)をもとに、子どもたち――とりわけ、ジェンダー・アイデンティティやセクシュアリティに悩む児童――が幼い頃からこれらのテーマと接することの重要性について語ります。
『ぼく、ひつじじゃなくてぶたなんだ』
ピム・ラマース作/ミルヤ・プラーフマン絵/長山さき訳/ほるぷ出版、2020年
メーってないてごらん。じゅういさんがこひつじにいうとブーブー。こひつじはないてみせました。ぼくはこぶたなんだというこひつじが主人公の、オランダ、ベルギーでたちまち話題となった、自分らしさとは何かを問いかける絵本。
ピム・ラマース Pim Lammers
ピム・ラマースは1993年生まれ。オランダ北部フリースランド州の田舎で育つ。子供の頃に物語を書き始め、十代で書いた短編小説がオランダのWrite Now! Amsterdam賞を受賞。2017年、『ぼく、ひつじじゃなくてぶたなんだ』でデビューし、翌年には銀の石筆賞を史上最年少で受賞した。2020年、『ぼく、ひつじじゃなくてぶたなんだ』の続編である絵本 De boer en de dierenarts (ミルヤ・プラーファン絵)がミュンヘン国際児童図書館のホワイト・レイブンズに選出される。文芸誌に作品を発表したり、舞台で朗読活動を行ったりしている。
第2部
『サリー・ジョーンズの伝説』
これは、ある嵐の夜、アフリカの熱帯雨林の奥深くで生まれたゴリラの女の子の物語です。彼女の名はサリー・ジョーンズ。ジャングルで満たされた生活を送るサリーを、とつぜん不幸が襲います。群れを襲った密猟者にとらえられ、その後は数奇な運命に翻弄されます。友情と愛情、謎めいた事件、灼熱のジャングルにうごめく悪と裏切り、そしてあこがれと希望……サリーは幸せを手にすることができるのでしょうか。(福音館書店のホームページより)https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=1302
なお、11月19日(木)19:00-20:30には、代官山蔦屋書店にてヨーロッパ文芸フェスティバル前夜祭として、『サリー・ジョーンズの伝説』の読書会とスウェーデン児童文学についてのおはなしがあります。詳しくはこちらをご覧下さい。https://eulitfest-zenyasai.confetti.events/
ヤコブ・ヴェゲリウス Jakob Wegelius
ヤコブ・ヴェゲリウスは1966年、スウェーデンの港町ヨーテボルイに生まれる。ストックホルムの国立芸術工芸デザイン大学(KONSTFACK コンストファック)で学ぶ。1944年、作家デビュー。『サリージョーンズの伝説』のほか『曲芸師ハリドン』(あすなろ書房)が翻訳されている。ストックホルム在住。
※11月14日に2020年のアストリッド・リンドグレーン賞を受賞。同賞はリンドグーンの60歳の誕生日を記念し、1967年に創設されたもので、優れた文学作品やそれを執筆した作家に授与される。
柗村裕子 Yuko Matsumura
聖徳大学児童学部児童学科准教授。白百合女子大学大学院文学研究科児童文学専攻博士課程、単位取得満期退学。北欧の昔話と児童文学に関心を抱き、東京スウェーデン語学校でスウェーデン語を学ぶ。現在は研究の傍ら、子どもの本の翻訳や再話等を行う。『カイとカイサのぼうけん』(翻訳、福音館書店)、『長くつ下のピッピの世界展』(英和担当、東映、東京富士美術館)、「樹木と昔話」(『アジア遊学228』勉誠出版)、「スウェーデンの昔話の日本への紹介について」(『口承文芸研究40』日本口承文芸学会)など。近刊に創作「くまのとしょかん」(「母の友」2020年11月、福音館書店)がある。趣味はシーカヤックで、数年前に念願のスウェーデンでのカヤッキングを果たした。