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朗読&トーク:レイン・ラウド × 沼野充義

Estoniaエストニア

日本語・英語同時通訳

23 木・祝 11:30 - 12:30
南麻布会場 駐日欧州連合代表部 シューマン講堂

日本古典文学の研究家であり作家でもあるレイン・ラウドが、自作小説Vend (2008)〔英語版 The Brother (2016)〕を紹介。聞き手は東京大教授でスラヴ文学研究家の沼野充義。


【登壇者プロフィール】

レイン・ラウド (Rein Raud) タリン大学教授(学長2006-11年)
1961年、エストニア・タリンにて、祖父・両親共に作家という三代にわたる作家一家に生まれる。また、弟(ジャーナリストでロックミュージシャンでもある)と妹(芸術家)も作家として活躍している。ラウド自身もカルチュラル・スタディーズの理論家(Meaning in Action: Outline of an Integral Theory of Culture, Polity, 2016)として知られるほか、日本の古典、とりわけ道元禅師の思想を専門とする研究者でもある。しかし、本人にとっての本業は自分の作品の執筆である。1981年に処女詩集を出版して以来、詩集を5冊、小説を8冊、短編集を3冊、そして、演劇集を1冊出版している。ラウドの文章表現は、さまざまなジャンルの慣習を取り入れ、それらを詩的で表情豊かな言葉遣いと組み合わせている。例えば、The Brother (2008、英語版:Open Letter Books, 2016)は、セルジオ・レオーネやクリント・イーストウッドの映画へのオマージュであると同時に、アレッサンドロ・バリッコの作品にも敬意を表したマカロニ・ウエスタンである。より最近の小説では、歴史的な主題を大きく扱うようになっており、宗教に関連した集団自殺の物語が主題となっているThe Reconstruction (2012; 英語版:Dalkey Archive Press, 2016)は、共産主義体制の厳格なイデオロギーから自由の嵐に移行する際の現地の雰囲気を描写、The Death of the Perfect Sentence (2015; 英語版:Vagabond Voices 2017)は、エストニアがソ連の支配下にあった最後の数カ月を背景としたラブストーリー/スパイ小説である。おそらくこれまでで最も野心的な小説であるThe Clock and the Hammer (2017)は、19世紀始めから1950年代、1980年、そして現代といったさまざまな時代の、エストニア沿岸のある屋敷を舞台に、そこで交差する人々の運命が、大昔からそこで人々が興じてきたカードと骰子を用いた神秘的なゲームを軸として進行する物語となっている。

沼野充義(ぬまの みつよし)
ポーランド・ロシア文学研究者、文芸批評家。元ワルシャワ大学講師、現東京大学教授。ハーヴァード大学大学院で、ポーランドの詩人バランチャクに師事。主な著書に『夢に見られて』、『亡命文学論』(サントリー学芸賞)、『ユートピア文学論』(読売文学賞)、『世界文学から/世界文学へ』、編著書『世界は文学でできている』(全5巻)など。ポーランド語からの翻訳に、レム『ソラリス』『金星応答なし』『完全な真空』、シンボルスカ『終わりと始まり』、コワコフスキ『ライロニア国物語』などがある。

DAY123木・祝

南麻布会場駐日欧州連合代表部

港区南麻布4-6-28 ヨーロッパハウス

日比谷線「広尾駅」出口1より徒歩約10分