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ギリシャは詩人の国:二人のノーベル賞詩人、セフェリスとエリティスの紹介
現代ギリシャ詩研究家の茂木政敏が、現代ギリシャ詩を代表する二人のノーベル賞詩人、ヨルゴス・セフェリスとオディッセアス・エリティスについて紹介する。当然、二人の生涯と作品を語ることになるが、今回は彼ら二人の「一個の全体」というギリシャ観に特に焦点を当てる。これは古代のみ価値を置くルネサンス・ヨーロッパによるギリシャ観に反抗し、二人をはじめとした「三十年代世代」が提唱・探求した概念であって、古代のみならず、ビザンツ、近世、近現代ギリシャ各文化を地続きなものと捉えるものである。そのため、『エロトクリトス』、マクリヤニス回想録、画家テオフィロスなど近世ギリシャ文化についても言及されることになるだろう。それらは、日本でほとんど紹介されていないギリシャ民衆文化を紹介する機会となり、さらには、そうした独自性、複数性を取り込むヨーロッパ文化の強靭さを考える機会ともなると信じている。
茂木 政敏
現代ギリシャ詩研究家。英知大学仏語仏文科卒業。
訳書に、ロバート・リデル『カヴァフィス 詩と生涯』(2008年共訳)、オディッセアス・エリティス「自らを語る」(2015年共訳)、同「ノーベル賞受賞講演」(2015年)ほか多数。また「現代ギリシャ詩小史‐1941年まで」(東千尋編訳『現代ギリシャ詩集』所収2011年)や、「オディッセアス・エリティス 人と作品」(東千尋編訳『オディッセアス・エリティス訳詩集』所収2015年)など多数著述。