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日欧パネルディスカッション:Stranger Than Fiction (Part 1)

オンラインパネルディスカッション
Belgiumベルギー
Italyイタリア
Latviaラトビア
Finlandフィンランド

英語・日本語(同時通訳あり)

21 19:30 - 21:00
オンライン配信

日欧の文学界で活躍する作家たちによる2日連続のパネルディスカッション。第1夜は、ベルギー、イタリア、ラトビア、フィンランドを代表する作家に芥川賞作家・上田岳弘が話を聞きます。

サスキア・デ・コステル Saskia de Coster

サスキア・デ・コステル(1976年生まれ)は芸術家、劇作家、テレビの討論番組のレギュラー出演者であると同時に、独特な作風で知られる作家である。家族の歴史を扱ったWe and Meはベストセラーとなり、オランダ語文学のあらゆる賞にノミネートされた。より私的な半自伝的作品Night Parentsは、愛を、そして血のつながりのない親子関係を賛美した作品。印象的な情景描写と深遠な物語を特徴とするデ・コステルの小説のほとんどが他言語に翻訳されているか、現在翻訳中である。

イジャーバ・シェーゴ Igiaba Scego

イジャーバシェーゴは1974年ローマ生まれのソマリア系イタリア人。小説家、ジャーナリスト、在野研究者。ポストコロニアル研究で博士号(教育学)を取得し、イタリアをはじめ世界で研究活動を展開する。著書には、児童書 La nomade che amava Alfred Hitchcock(アルフレッド・ヒッチコックを愛したノマド女性, Sinnos, 2003)や、小説 Rhoda (ローダ, Sinnos, 2004)、Oltre Babilonia (バビロニアの向こう, Donzelli, 2006, 英訳:Beyond Babylon, Two Lines Press, 2019)などがある。回顧録 La mia casa è dove sono(今いるところが私の故郷, Rizzoli, 2010)で2011年モンデッロ賞受賞。他に、イタリア植民地の歴史にまつわる幅広いテーマに向き合ったノンフィクション作品 Roma negata. Percorsi postcoloniali nella città (否定されたローマ――都市におけるポストコロニアルの行程, リノ・ビアンキ写真, Ediesse, 2014)も発表している。ソマリアからイタリアに向かう長い旅路で自分自身を探す一人の女性を描いた小説 Adua (アドゥア, Giunti, 2015)は、2017年にアメリカのNew Vessel Pressからも出版され、現在多くの言語に訳されている。最新の小説 La linea del colore (色の境界線, Bompiani, 2020)は、2021年にアメリカのOther Press他、多くの国で出版予定。週刊誌Internazionaleと日刊紙Domaniで連載執筆中。日本では、短編小説Identità(わたしは誰?, 飯田亮介訳)はイタリア現代文学短篇アンソロジー『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』(Da qualche parte, al sicuro, 国書刊行会, 2019)に所収されている。

ヤーニス・ヨニェブス Jānis Joņevs

ヤーニス・ヨニェブスは1980年生まれの作家。2013年、最初の小説Jelgava ’94 が出版されると、たちまち話題となり熱狂的な読者を獲得し、テレビ番組Lielā lasīšana (大いなる読書)で、ラトビアで最も人気のある100作品の一つに選出された。批評家の間でも高く評価され、数々の賞を受賞し、2014年にはEU文学賞を受賞。1994年のイェルガヴァの町を舞台にヘヴィメタルに惹きつけられる若者たちに焦点を当てた同作品は、音楽とサブカルチャーを軸に、若者の目を通して人生を探求している。ラトビアが独立を回復したばかりの1990年代に青春を迎えた世代の物語である。同作品は、また、Jelgava New Theaterにて舞台化され、Jānis Ābele監督により映画化された。これまで10カ国語に翻訳され、日本語訳の刊行も予定されている。

マリアンネ・バックレン Marianne Backlén

マリアンヌ・バックレンはスウェーデン系フィンランド人のライター。小説を中心に14冊の著書がある。小説『Karma (カルマ)』は八正道に基づく仏教をテーマにしている。2015年に出版された最新の小説では、自身の家族の歴史を軸に、戦争がいかに人々を傷つけ、引き離してしまうかを探求している。ジェンダーや人種間の平等、LGBT、ジャズ、現代美術、ダンス、映画に強い関心を持ち、Violetta skymningar (=すみれ色の黄昏)と名付けられたブログでは、ヘルシンキでの生活、アーティスト・イン・レジデンス(東京の遊工房アートスペースを含む)での経験、自身の家族、季節の移り変わりなどについて、日々の思いを綴る。現在、ダイアモンドの比喩(『金剛般若経』から紛争ダイアモンド、高級ジュエリーまで)を中心的主題とした小説を執筆中。

司会

上田岳弘 Takahiro Ueda

1979年生れ。早稲田大学卒。2013年『太陽』で新潮新人賞。『私の恋人』で三島賞。『塔と重力』で芸術選奨。『ニムロッド』で芥川賞。